事業承継、M&Aに携わる専門家必見の企業価値担保権

令和6年6月に事業性融資推進法(事業性融資の推進等に関する法律)が成立・公布されました。
これまでの融資は、企業に土地や建物等の有形資産がある事や、経営者がそれなりに財産を持っていて連帯保証人等になれることが前提でした。すなわち、有形資産に乏しいスタートアップ企業は融資を受けにくい状況であり、また、経営者保証により事業承継や思い切った事業展開を躊躇する企業もありました。
そこで、企業の有形資産だけでなく、ノウハウや顧客基盤といった無形資産をも担保の対象とし、事業価値全体に担保権を設定できる制度が創設されました。

この企業価値担保権は、事業の実態や将来性に着目しています。

つまり、中小企業やスタートアップ、事業承継などにおける資金調達を円滑にすることを目的としているわけです。

したがって、後継者不在により事業承継に悩む企業のM&Aでも活用が期待されています。

同法は、公布日から起算して2年6ヶ月を超えない範囲において政令で定める日から施行されます(附則1条)。

事業承継やM&Aに携わる専門家としては、今後の動向に要注目なトピックですね。

したがって、各専門家士業が、普段から財務面および労務面から企業価値を上げていく事に努める事が大切になります。例えば、社会保険労務士(社労士)でしたら、労務デューデリジェンス(労務DD)で問われる事項、すなわち、適正な労働時間制の整備や時間外労働にかかる割増賃金の計算等の側面から潜在的な企業価値の下落を防ぐアプローチや、ワークエンゲージメントを高める健康経営を目指して企業価値を根底から上げていくアプローチ等が考えられます。

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